童心

いつも読んでいただきありがとうございます。
 突然ですが、蟹見たことありますか?


 先日友人と表郷の天狗山に行ってきた。友
人は山歩きなどしない男で、もっぱらバイク。
一カ月前まで北海道を走っていて、脚には自
信がないと言いつつもついてきた。


 そんな友人と天狗山を登ったのだが、アケ
ビがなっていたり、まだトンボが飛んでいた
りで秋らしい日だった。


 斜面のアケビを誰が取るかでじゃんけんで
決めようとしたが、体力不足を理由に拒否さ
れてしまった。そのため自分で取りに行くこ
とになったが、斜面が急過ぎて登れず止む無
く断念した。


 体力には自信があったのだが・・・。熊と
いう名前は同じであっても、野生の者と比べ
たら取るに足らない事を痛感した。友人には
年寄りの冷や水などと揶揄される始末。


 アケビは取り損ねたが、葉っぱも色づき始
め気分は上々でハイキングが楽しめた。頂上
からの眺めも良く、布引山に据えられた風力
発電機が見えた。稲刈り後の田んぼが妙に郷
愁の念を抱かせつつも、山を降りて行った。


 麓近くでは山の水が沢を流れ、陽を浴びて
きらめいている。蟹がいないかと思い沢を覗
いてみた。居そうな気がするが、見つからな
い。友人の居る所に戻って二人で流れを見て
いると、蟹がいると言い出した。


 ザリガニかもしれないなどと、うそぶいて
いる。からかっているんだなあと思いながら、
友人の指差す石の隙間を見ていると、不意に
はさみが出てきて姿を表した。確かに蟹だっ
た!


 だがら言ったっぺ~と友人にドヤ顔されな
がら、おっさん二人ギャーギャー騒いで弾け
てしまった。もうはぁ驚いだなあ~。嬉しな
あ、楽しいべ~。ついつい子どもの頃に返
ってしまった。


 蟹を目撃して居ると分かると、見つからな
かった蟹が次々と見つかり出した。これも友
人が見つけてくれたお陰だなと思う。自然溢
れる環境にいることに感謝し、この自然をこ
れからも大切にしたい。